インスリンと仲良くなろう
○インスリンの役割は血糖値を一定に保つ
インスリンとは膵臓のβ細胞にある「ランゲルハンス島」から分泌されるホルモンです。ちなみにランゲルハンス島のα細胞からは、インスリンと逆の働きをする「グルカゴン」が分泌されます。
さてインスリンの分泌は「基礎分泌」と「追加分泌」との二種類があります。インスリンは常にごく少量が分泌されていて、これを「基礎分泌」と言います。そして食事をして血液中にブドウ糖が流れ込んでくると、「追加分泌」が起こってきます。どちらも血糖値を一定に保つために働いているのです。
○インスリンは栄養を細胞に運び込む呼び水
糖分とアミノ酸を各臓器・細胞に送り込む作用
食事をすると栄養素が血管に流れ込んできて、血糖値が上がります。そしてインスリンが追加分泌されることによって、血糖値は一定のレベルにまで下がります。それはインスリンが筋肉や脂肪、肝臓に糖分を送り込むことによって、血液中の糖分が減ってくるからです。この「糖分を送り込む」作用を、インスリンが担っているのです。またアミノ酸を筋肉に送り込む作用も持っています。
糖尿病の患者は、放置しておくとどんどん痩せていってしまう。
食事をしてもインスリンが働いてくれないと、栄養を細胞に送り届けることができないのです。そのため、インスリンがうまく働かない糖尿病の患者は、放置しておくとどんどん痩せていってしまうのです。 なおインスリンの他の働きとしては、「肝臓でグリコーゲンを合成する」というものもあります。
この「糖分やアミノ酸を筋肉に送り込む」というインスリンの働きは、筋肉を大きくしていく上で非常に有利に働きます。単純に考えれば、バルクアップを目指すのでしたら、インスリンをどんどん分泌させていけばよいことになるわけです。しかし、そう簡単にはいきません。
○インスリンは体脂肪を合成する
筋肉が大きくなると同時に脂肪もついてしまう
インスリンは脂肪細胞にも働いてしまいます。脂肪細胞に送り込まれる糖分は全体の3%程度に過ぎないのですが、インスリンは脂肪を合成する「リポタンパクリパーゼ(LPL)」という酵素の働きを助け、また脂肪を分解する「ホルモン感受性リパーゼ(HSL)」という酵素の働きを邪魔してしまうのです。 インスリンが多く分泌されると、体脂肪は合成されやすく、同時に分解されにくいという状況に陥ってしまうわけです。
糖質と脂肪を大量に同時摂取は体脂肪が最も増える
糖質と脂肪を大量に同時摂取するといけません。ブドウ糖が大量に存在すると、遊離脂肪酸と結合し、体脂肪が合成されます。食事で脂肪も多く摂取していると、遊離脂肪酸も増えますので、それだけ体脂肪が増えやすくなるのです。 ただし脂肪をあまり摂取していなくても、糖質を過剰摂取すると、結局は同じことになってしまいます。
肝臓ではグルコースが過剰になると、すぐさま脂肪に変換されます。そこでできた脂肪はVLDLを形成し、血中に放出されます。これが脂肪細胞に移行し、リポタンパクリパーゼによって脂肪酸へと分解され、やはりグリセロール3リン酸と結びついて体脂肪になってしまうわけです。
インスリンの分泌量が減れば体脂肪の合成も少なくなるが
筋肉も落ちる可能性あり
糖尿病患者はどんどん体重が減る、と書きました。糖尿病の場合はインスリンそのものが分泌されなかったり、インスリンが細胞に作用しなかったりといった病的な現象で、体重が減っていきます。しかし病気でなくても、インスリンの分泌そのものが減ってくれば、脂肪細胞への栄養の取り込みも減り、痩せてくるのです。
体脂肪を減らしたい場合には、バルクアップを狙う場合とは逆に、インスリンがあまり出てこないようにしなければなりません。ただしインスリンが出てこないということは、筋肉への栄養の取り込みも減ってしまいますので、筋肉が落ちてしまう可能性もあるということです。
インスリンの分泌メカニズム
(専門的な内容なので飛ばして大丈夫です)
インスリンの分泌メカニズム
インスリンの分泌メカニズムについて解説
膵臓のβ細胞には、GLUT2という「運び屋」がいます。糖質が消化されてブドウ糖が血液中に流れるようになると、GLUT2がブドウ糖をβ細胞に運び込みます。するとブドウ糖から、エネルギー源であるATPがつくられます。 このときATPにより、ATP感受性K+チャネルが閉鎖され、脱分極が起こります。
さてATP感受性K+チャネルとは?また脱分極とは? 細胞は細胞膜を境にして、内部がマイナス、外部がプラスとなっています。これは「マイナスの極とプラスの極に分かれている」と言い換えることができますが、この状態を「分極」と呼びます。またプラスとマイナスの差のことを「膜電位」と呼び、これは通常、だいたい-70mVになっています。
そして何らかの原因によって、プラスとマイナスの差がなくなって膜電位が0mVになることがあります。これを「脱分極」と呼びます。 細胞には「K+漏洩チャネル」という通路があります。プラスイオンを持つK+が、そこから流出するため、普段は膜電位がマイナスになっているのです。
しかしブドウ糖からATPがつくられると、このチャネルが閉鎖されます。すると膜電位がなくなって、脱分極が起こるという仕組みです。 β細胞の脱分極が起こると、それをセンサーとしてCa2+チャネルが開き、細胞内Ca濃度が増加してインスリンが分泌される。このような流れとなっています。
○インスリン分泌後は
「インスリンが分泌されると、さまざまな酵素が活性化されて、GLUT4が細胞膜の表面に出てくる(トランスロケーション)ことにより、ブドウ糖の取り込みが促進される」
インスリンが分泌されると、細胞膜表面にある「インスリンレセプター」に結びつきます。レセプターというのは「受容体」、つまりインスリンを受け入れるものです。インスリンレセプターは「αサブユニット」と「βサブユニット」が結合したもので、インスリンとはαサブユニットが結合します。
αサブユニットにインスリンが結合すると、βサブユニットの中にある「チロシンキナーゼ」という酵素が活性化し、IRSsと呼ばれるタンパク質が「チロシンリン酸化」されます。そしてIRSsはPI3キナーゼという酵素を活性化します。 PI3キナーゼが活性化されると、GLUT4と呼ばれる「ブドウ糖の運び屋」が細胞の表面に出てきて、ブドウ糖の取り込みを促進するのです。
「インスリンが分泌されると、さまざまな酵素が活性化されて、GLUT4が細胞膜の表面に出てくる(トランスロケーション)ことにより、ブドウ糖の取り込みが促進される」ということ。
トレーニング中は栄養の取り込みが促進される
体脂肪を増やさない筋量アップ法
インスリンがあまり出ていないときでも、栄養取り込みが促進される。それがトレーニング中。 トレーニング中はエネルギー源であるATPが大量に使われます。するとAMPKという酵素が活性化されます。AMPKは「エネルギーセンサー」の役割を持ち、ATPが少なくなってくると、AMPKが活性化されてGLUT4がトランスロケーションし、ブドウ糖を細胞内に取り込もうとするわけです。
さらトレーニングして筋肉を動かすことで、筋肉の物理的な収縮や血行の促進により、GLUT4のトランスロケーションが促進されます。そしてこの状態は運動開始後すぐにはじまり、運動終了後3時間ほど続きます。
つまり運動中~運動後3時間以内に、十分な量の栄養物質を筋肉細胞に送り届けることがポイントです。このタイミングだと栄養が体脂肪ではなく筋肉に働くため、大量のカロリー、糖質、タンパク質などを摂取しても体脂肪が増えることはありません。
インスリンには働く優先順位がある
インスリン・ヒエラルヒー
インスリンは最初に筋肉に働き、つぎに肝臓、最後に脂肪に働きます。これを「インスリン・ヒエラルヒー」と呼びます。 そのため筋肉が多ければ多いほど、インスリンによって体脂肪が増える可能性は小さくなります。
筋肉が多いとインスリンの働きが筋肉に優先する
筋肉が多いと太りにくいのですが、これは基礎代謝が高いというだけでなく、インスリンの働きも関係してくるのです。 逆に筋肉が少ない人は、脂肪にインスリンが働く割合が大きくなってしまい、より体脂肪が増えやすくなるというわけです。
「インスリン感受性が高い」という言葉があります。これはインスリンが細胞に働きやすくなっているということ。逆にインスリンが働きにくいことを、「インスリン抵抗性」と呼びます。 前述のとおり、トレーニングすることでGLUT4のトランスロケーションが起こりやすくなり、筋肉におけるインスリン感受性が高くなります。詳しくはリンク貼っておきます。
つまりトレーニング直後3時間の間は筋肉のインスリン感受性が非常に高く、このときはインスリンが大量に分泌されたとしても、脂肪細胞に働く割合を非常に小さくできるのです。
〜ここからはお知らせ〜
基本的には無料で情報配信しています。
LINE公式アカウントでお知らせしています。
よければ友達追加お願いします。
http://nav.cx/aouSvGY
個人twitter
https://twitter.com/358hamada
noteこちらにも記事を載せています
ダイエットのコツなどこちらに掲載しています
https://note.com/catgutworksbody
オンラインでのコーチングやパーソナルでのご依頼はLINEの公式アカウントからお願いします。
予告なく内容など変更する場合がございます、ご了承ください。
コンテンツの著作権は、すべて編集・発行元に帰属し
ます。内容の部分または全部を無断転載、転送、再編集など行
なうことはお控えください。
コメントを残す