食肉中のアラキドン酸がキーになる
悪玉として作用する一方で、必要な作用がある
メリット
- 筋肉を増やしたり
- 脳の機能を維持
- 止血作用
- 胃粘膜の保護
デメリット
- 血液をドロドロにする
アラキドン酸の役割
アラキドン酸は卵や肉類に多く含まれますので、健康のためにはこれらを食べ過ぎないようにしたほうがいいのかも知れません。アラキドン酸には筋肉を増やしたり脳の機能を維持したりする作用があるのです。 体内で合成される以上、悪玉にもそれなりの役割がある。
血液をドロドロにするが止血作用を高める
血液をドロドロにする作用といえば、あまり良いことではないように思えます。しかしこの作用がないと、なにかで出血したときに、血が止まりにくくなってしまいます。怪我をしたときだけでなく、例えば脳出血のときなどは、これが命取りとなることもあります。 また胃粘膜の保護作用もあります。悪玉エイコサノイドがないと、胃酸が胃壁をどんどん溶かしてしまうのです。アスピリンなど、エイコサノイドの産生を止めるクスリを摂取すると、胃が悪くなるのはそのせいなのです。 そういった事実を考え合わせると、アラキドン酸を控え過ぎるのも問題です。
青魚の食べる割合を増やそう
むしろ「悪玉に対抗できるだけの善玉を発生させる」と考えてみましょう。すなわち善玉をつくるEPAを十分に摂取してカウンターにするわけです。EPAは青魚(サンマやイワシ、アジ、サーモンなど)に大量に含まれますので、積極的に食べるようにしたいものです。
アラキドン酸の効果
アラキドン酸はトレーニングの効果を高める
アラキドン酸(AA)過度の摂取は健康に悪いと考えられます。しかし、AAにはトレーニングの効果を高めるという側面もあるのです。 トレーニングはPGF2αやPGE2など2系統エイコサノイドを分泌させ、特にストレッチによるこれらの分泌はタンパク合成を促進して細胞の成長を促します。
そしてこれらの悪玉エイコサノイドはトレーニング後の筋タンパク合成作用を増し、IGF-1の発現を強化します。さらに衛星細胞の融合(筋肉周辺にある幼若細胞が筋細胞になる)を促し、さらに男性ホルモンレセプターの合成を促進するのです。
1000mgのアラキドン酸を50日間摂取することにより、摂取していない群に比べ、筋出力や無酸素運動パワーの伸びが上回ったという報告があります。
また31名の男性トレーニーに50日間に渡って1000mgのアラキドン酸を摂取させたところ、総テストステロンの増加が起こっています。
タンパ大学での実験によれば、1500mgのアラキドン酸を8週間摂取することにより、摂取していない群に比べ、筋出力や無酸素運動パワーにおいて、遙かに上回る結果を出すことが出来たのです。除脂肪体重も1.5kg増えていました。
最近行われた30名のトレーニーを対象とした研究では、8週間に渡って1500mgのアラキドン酸を摂取したところ、除脂肪体重が2.9%増加、8.7%の上体の筋力増加、ピークパワーの12.7%増加という結果が出ています。 Aktの増加が見られ、myoDとmyogeninの増加も起こりました。
トレーニングは筋肉に物理的ストレスを与えて炎症を引き起こし、それが発達の引き金となりますが、AAはその炎症を促進することで発達を増強するのかもしれません。 ボディビルダーやアスリート、格闘家たちは、経験的に肉類を多く食べることが勝利に繋がると考えていますが。これは理由があってのこと。
また、アラキドン酸は体内で「アナンダミド」に変わり、これがメンタル面でも良い影響をもたらしてくれます。 日本でも某大手サプリメントメーカーがアラキドン酸のサプリメントを出しています。これはEPAとDHAも一緒に含んでいますが、一日の量としてのアラキドン酸摂取量は120mgに過ぎません。 しかし卵を1個食べれば86mgのアラキドン酸が摂取できます。また豚レバーを100g食べれば300mgのアラキドン酸が摂取可能です。 なお前述の通り、アラキドン酸の悪玉エイコサノイド生成に対するカウンターとして、EPAはぜひ摂取するようにしてください。
コメントを残す