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インスリンは肝臓・筋肉・脂肪細胞での栄養素の貯蔵させる
理想 | インスリン感受性 |
骨格筋 | 高い |
脂肪細胞 | 低い |
インスリンには諸作用あり、肝臓・筋肉・脂肪細胞での栄養素の貯蔵への影響しているのは間違いありません。従って、定性的に筋量アップに理想的な状態は、
骨格筋 インスリン感受性 高く
脂肪細胞 インスリン感受性 低い
つまり、筋肉へのカロリー取り込みが多く、脂肪細胞に体脂肪として蓄積されにくいからです。
食事制限では、筋肉での脂肪酸の使用が高まります。
筋肉でのエネルギー燃料としてのグルコースを制限することで、脳へのグルコース供給を補い、筋肉でのエネルギー燃料として脂肪酸の使用が高まります。食事制限で減量するケースでは、インスリン抵抗性の方が良いと言えます。実際にダイエットに効果的と云われる、成長ホルモン、クレンブテロールやエフェドリンなどの薬剤はインスリン抵抗性を引き起こします。
インスリン感受性が悪い人は脂肪組織に多く貯えられることになる。
遺伝的にエリートと呼ばれる人は、骨格筋のインスリン感受性が高く、食事摂取に反応するインスリン分泌量も少ないので、脂肪組織よりも骨格筋により多くのカロリーが貯えられます。逆に、骨格筋のインスリン感受性が悪い人は、インスリン分泌が増えることによって、カロリーは脂肪組織に多く貯えられることになります。
インスリン感受性はどのようにコントロールしたら良いのでしょうか?
- 主要因は遺伝子
- 食事管理
- 活発に体を動かすこと
インスリン感受性に好影響を与えます。先ず挙げられるのは筋肉の収縮で、インスリン感受性を改善し、筋細胞へのグルコース(糖質)取り込みを促進します。更に、筋グリコーゲンの枯渇(Depletion)も重要で、インスリン感受性に好影響をもたらします。
インスリン分泌と感受性についての初歩的な手引き
脂肪減少/体重減少 | |
インスリン感受性 | 増加に相関 |
インスリン抵抗性 | 増加を防ぐこと |
インスリン感受性とインスリン抵抗性のいずれも、脂肪減少/体重減少に影響することは明らかになっていますが、一般に信じられていることに反する事実として、全体的に良好なインスリン感受性は体重/脂肪の増加と相関する傾向があり、インスリン抵抗性は体重/脂肪の更なる増加を防ぐと考えられています。
摂食に反応してインスリンが過剰に分泌されると、体重/脂肪の増加に至りやすいことを示唆する研究もあります。
インスリン過剰分泌すると人はもっと食べたくなる傾向がある
これら研究群でごっちゃにして大きく間違えられているポイントは、インスリン分泌が高まると人はもっと食べたくなる傾向があるということです。糖尿病に関する研究では、薬剤でインスリン分泌を低下させると食事摂取量が自発的に少なくなると云う報告が発表されています。
ody Recomposition
By Mr Lyle McDonald
“Insulin Sensitivity and Fat Loss”から抜粋:
ボディビル栄養学は、高炭水化物/低脂肪、中程度炭水化物/中程度脂肪、低炭水化物の三つに大別されます。更に、低炭水化物ダイエットは、高脂肪or低脂肪、或いは cyclical or non-cyclicalに分けられます。
Cyclical(周期性)とは、平日は炭水化物を避け、週末に固め食いするケトジェニックダイエットの一つです。これらの食事方法を比較するに当たって、優位性の観点から議論することは理論的には可能ですが、現実的には簡単なことではありません。ボディビルダーまたは一般人のいずれであれ、様々なやり方がある中で、驚くほど上手く行ったり或いは無残に失敗したりするのを、常に目の当たりにします。
ボディビルダーアスリートはタンパク質が除脂肪量1kg当たり2-3g/日
タンパク質の推奨量については、各食事方法の間で有意な違いは無く、議論の中心題目は炭水化物と脂質の比率に集中しがちですが、われわれも炭水化物と脂質に焦点を置きたいと思います。低タンパク質にして脂肪を減少させることは、極端な肥満のケースを除いて有用ではないので考慮しません。ボディビルダーやアスリートでは除脂肪量1kg当たり2-3g(1lb=0.454kg)のタンパク質は必要でしょう。
直近の研究では、食事の有効性とインスリン感受性/食後のインスリン分泌との相互作用が
調べられていますが、それらはボディビルダーではなく全て肥満者を対象としています。
インスリン分泌量や働きに問題なくても、インスリン受容体(Receptor)が作用しないと、細胞へのブドウ糖の吸収がうまくいかず、血糖値を下げることができません。つまり、インスリン感受性(Sensibility)とは、ブドウ糖と結びついたインスリンを受け取るインスリン受容体の働きということです。
体脂肪レベルが同じなら、インスリン感受性は遺伝子の理由だけで約10%の違いがあることが分かっています。
インスリンの感受性・抵抗性の減量効果
減量の効果
感受性比較
低炭水化物/インスリン感受性グループ < 高炭水化物/インスリン感受性(2倍近い)
抵抗性比較
高炭水化物/インスリン抵抗性グループ < 低炭水化物/インスリン抵抗性(2倍差)
高炭水化物/インスリン感受性、高炭水化物/インスリン抵抗性、低炭水化物/インスリン感受性、低炭水化物/インスリン抵抗性の4グループに分けて比較した研究ですが、興味深い結果が報告されています。低炭水化物/インスリン感受性グループに比べて、高炭水化物/インスリン感受性グループの女性で二倍近い減量が認められました。
同様に、インスリン抵抗性を有する女性では、高炭水化物グループに比べて、低炭水化物グループで二倍の減量が認められました。
残念ながら、そのような異なる結果をもたらした原因は明らかではありませんが、研究者はエネルギー消費に関与しているFOXC2と呼ばれる遺伝子を挙げて、それが食事に最もよく反応した被験者おいてアップレギュレートされたことを報告しています。
インスリン感受性又は分泌が減量にどのように反応するのか調査中です。ほとんどの研究群において、体重減少の大きな違いは、インスリン感受性の異なる被験者の間で認められていません。しかしながら、少なくとも1つの研究では、特定の食事がベースラインのインスリン感受性と相互作用して、体重減少の度合いを決定することが示されています。その研究 “Insulin sensitivity determines the effectiveness of dietary macronutrient composition on weight loss in obese women.” では、年齢23~53歳の非糖尿病(高 or 低インスリン感受性)の肥満女性を被験者として、高炭水化物食(炭水化物60%/脂質20%)又は低炭水化物食(炭水化物40%/脂質40%)を割り当てました。
インスリンの分泌状態と食事の関連についてのデータは少ないのが実状ですが、その中で24–42歳の過体重の成人男女を被験者とした6ケ月のRCT研究では、高GI食((炭水化物60%、タンパク質20%、脂質20%))低GI食((炭水化物40%、タンパク質30%、脂質30%)を割り当てて、体重減少とベースライン時のインスリン分泌との相関性を調べています。その結果、インスリン分泌の高い被験者は低GI食で減量幅が大きく、インスリン分泌の低い被験者は高GI食で減量幅が僅かに大きかったことが分かりました。
核心ポイントを取り纏めると、“高脂質/低脂質の両表現型”だけでなく、“ベースライン時のインスリン感受性とインスリン分泌が異なる各個体が、食事にどのように反応するのか”に関して有用なデータが制限されているものの、それらは体重/脂肪の減少並びに主観的な感情の点に関して、現実の世界で起きている観察値をサポートしているものと思われます。
それでは、具体的にどのように活用出来るのでしょうか?
残念ながら、あなたが高or低脂肪表現型いずれなのか見分ける簡単な方法は有りません。
従ってインスリン感受性に焦点を絞りますが、インスリン感受性とインスリン分泌を決定する方法は、複雑で非実用的なものならたくさんあります。
実用的で簡単な方法としては次の二つがあるので、次の要領で食事に対する反応を自己問診してください。
自己問診
高炭水化物食べて | インスリン感受性 |
満腹感 | 良好 |
膨満感 | 要チェック |
高炭水化物食を食べて、満腹感を感じたらインスリン感受性は良好で、不味くて膨満感を覚えたら問題があります!
高炭水化物食べて | インスリン分泌状態 |
エネルギー状態が安定 | 正常若しくは低く |
睡魔や空腹感 | 過剰分泌 |
炭水化物を大量に食べてもエネルギー状態が安定なら、あなたのインスリン分泌状態は正常若しくは低く、睡魔や空腹感などエネルギークラッシュが生じたら過剰分泌です!
具体的な実践方法
もしあなたが優れたインスリン感受性を有し、同時にインスリン分泌が低い方ならば、伝統的なボディビル方式の “高タンパク質/高炭水化物/低脂肪ダイエット”が宜しいでしょう。
この場合、タンパク質の摂取量は1g/lbでタンパク質の摂取比率は33%になります。
もし1.5 g/lbに増やすならタンパク質の摂取比率は50%になります。そうすると炭水化物+脂質で50-67%となりますが、必須脂肪酸の量を勘案すると脂質の摂取量は15-20%が妥当でしょう。従って、全体としてはタンパク質が凡そ33%、炭水化物47-52% (⇒ 45-50%)、脂質15-20%となります。もしタンパク質を50%にするなら、炭水化物35%、脂質15%になります。
インスリン感受性が優れておらず、且つインスリン分泌量が多いのであれば、低炭水化物/高脂肪の食事を選択すると良いでしょう。タンパク質の量は減らさず40%とし、炭水化物20-30%、脂質20-30%とします。Ketogenic若しくはcyclical ketogenicダイエットに近づけるなら、タンパク質は据え置いて炭水化物の量を10-20%としてください。
換算率は1lb = 0.453592kg
これらは摂取量<消費量の条件下での話です。摂取量>消費量なら食事構成を変えても痩せません。
なお、二週間ごとに体脂肪をチェックして、もし脂肪減少が1-1.5 lbs/週より少ないなら、カロリー及び食事構成を見直してください。
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